銅加工のスペシャリスト
銅は非常に柔らかい金属で粘りがあるのが特徴です。熱伝導が高いために、高精度加工が非常に困難な銅加工です。また、材料費も高いため失敗できません。 弊社では加工ノウハウを蓄積する技術者がいるからこそ銅加工に自信があります。 切る・曲げる・削る・穴を開けるなど変幻自在にご要望の銅製品の加工をいたします。
丸棒・角棒(フラットバー)・平板・異形材
弊社では銅加工を得意としております。様々な形状の材料を加工をしており、お客様のニーズに合った材料の選定・調達・加工まで一貫生産が可能です。
加工範囲:プレス・フライス・旋盤・その他追加工・表面処理
銅の種類とその特性
銅の種類としては、純銅(タフピッチ銅・りん脱酸銅・無酸素銅)、銅合金(黄銅・りん青銅・鉄入り銅など)があり、いずれも加工対応可能です。 銅は他の金属と比べても圧倒的に高い導電率であり、電子機器部品には欠かせないものとなっています。
クローム銅の加工
クローム銅は導電性(IACS82%)に優れ溶接用電極材として用いられます。弊社ではお客様のニーズに合わせたスポット用チップの製造を行っております。多種多様なサイズや形状の加工が可能です。
ブスバー(バスバー)加工
バスバーとは、主に配電盤や制御盤などの電気接続に用いられる導体のこと。高圧大電流が流れる部分などでは、絶縁被覆がないため放熱性が良く、表面積を大きくすることにより、高周波の電気抵抗を抑制する効果もあります。弊社では多種多様なブスバーの調達・加工ができます。
銅加工サンプル
-
サイズ 40ミリ×40ミリ×40ミリ 加工方法 ブロックから削り出し -
サイズ 45ミリ×43ミリ 加工方法 アングル材を削り出し -
サイズ 12ミリ×20ミリ×25ミリ 加工方法 ブロックからの削り出し -
サイズ 30ミリ×60ミリ×200ミリ 加工方法 規格材料ではないため、全周フライス加工後穴加工 -
サイズ 40ミリ×200ミリ 加工方法 位置出しの難しい鍛造品を、フライス加工にて仕上げ -
サイズ 20ミリ×40ミリ×70ミリ 加工方法 ブロックからの削り出し
銅加工の基礎知識
銅加工は難しいものでしょうか。銅は柔らかくて加工しやすい印象を持たれやすいですが、切削や切断のような刃物での加工が難しい金属です。有用な特性を多く持っているがゆえに、銅の切削加工は難易度が高いと言えるでしょう。この記事では、銅の特徴、よく使われる銅の種類と特徴、銅加工時の注意点について解説します。
銅の特徴
銅の代表的な特徴といえば「加工のしやすさ」や「通電性の高さ」などが挙げられます。ほかにも多くの特性を持つため、適用範囲の広い金属であるといえるでしょう。ここでは、銅加工に取り組むうえで、理解しておきたい銅の特徴について説明します。
加工性
銅は機械加工がしやすいと言われますが、その理由は展延性の高さにあります。成形性がよく、プレスマシンで塑性加工をおこなう際に割れやひずみが生じにくい金属です。被削性にも優れますが、バリが出たり刃先に溶着したりするトラブルが起こりえます。実際の切削加工では注意が必要な難削材です。
導電性
銅は電気が流れやすい性質を持ちます。電気抵抗率が1.67μΩcm(20℃)と非常に低く、銅の電気伝導率の高さはすべての金属の中で銀に次いで2番目です。銀よりも安価なため、導線の材料には銅が用いられます。
熱伝導性
熱を伝える能力が高いのも銅の特徴です。室温付近での銅の熱伝導率は386~402W/mK。電気伝導率と同じく、銀の次に高い数値を誇っています。熱を素早くムラなく伝えるため、調理器具の素材として使われたり、電子部品などの放熱板(ヒートシンク)に利用されたりしています。
溶融性
ほぼすべての金属は常温で固体ですが、熱を加えることで柔らかくなったり溶けたりします。銅の融点は1084.5 ℃ですから金属の中では高めです。しかし、焼鈍温度200~300℃前後で急激に柔らかくなります。長時間の加熱が起こる環境では強度が保てなくなるため、注意が必要です。
耐食性
銅は錆びにくく腐食に強い性質を持っています。空気に触れると酸化膜が表面にでき、内部を保護して腐食の進行を抑えるためです。この性質から、水回りや屋外に設置する金属製品に活用されています。
非磁性
鉄やコバルト、ニッケルなどと違い、銅は磁性を持たない金属です。磁気対策が必要な精密機械類の部品の製作やメッキ加工に適しています。
抗菌性
銅イオンは、ウイルスや細菌などの微生物の細胞膜を破壊したり、細胞のエネルギー生成と呼吸を阻害したりします。人の手が頻繁に触れる硬貨に銅が使われるのは、銅が高い殺菌力を持つためです。
リサイクル性
使用済みの銅製品あるいは銅製部品は、リサイクル処理をすることで再資源化が可能です。鉱石から銅を抽出して製錬する場合に比べて、CO2排出量を大幅に削減できます。
よく加工に使われる銅の種類とそれぞれの特徴
一口に銅といっても、合金を含めれば多くの種類があり、特徴もさまざまです。銅加工では、製品の用途によって純銅や銅合金を使い分けています。以下、よく加工に使われる銅の種類とそれぞれの特徴を解説します。
純銅(タフピッチ銅・脱酸銅・無酸素銅)
不純物を取り除いた、純度99.90%以上の銅を純銅といいます。純銅は含まれる酸素量によって「タフピッチ銅」「脱酸銅」「無酸素銅」に分類されます。
・タフピッチ銅(C1100)
0.02〜0.05%程度の酸素を含む純銅です。加工性や導電性、熱伝導性など基本的な銅の特性を持っています。ただし、600℃以上の高温加熱、例えばろう付けや溶接をおこなう場合は「水素脆化(すいそぜいか)」に注意しなければなりません。水素脆化とは、銅内部の微量酸素と水素が反応して水蒸気が発生し、割れやブローホールができてしまうことです。
・脱酸銅(C1201/C1220/C1221)
溶解した電気銅に脱酸剤を加え、0.01%程度まで酸素を除去した銅です。脱酸銅の中でも、酸素と化合しやすいリンを添加したものを「りん脱酸銅」と呼びます。ろう付けや溶接をしても水素脆化が起きませんが、導電性はタフピッチ銅に劣ります。
・無酸素銅
無酸素銅は酸素含有量が0.001%~0.005%ほどで、超高純度の純銅です。真空溶解法や還元性雰囲気溶解法を用いて製造します。強度が低くなるのがネックですが、導電性や展延性が高く、高温加熱をしても水素脆化が起きません。
銅合金(高銅合金・真鍮・青銅・銅ニッケル合金)
銅と銅以外の金属を組み合わせたものが銅合金です。銅の性質をある程度保たせながら、銅の加工をしやすくしたり強度を改善したりすることができます。銅加工に使われる代表的な銅合金は次のとおりです。
・高銅合金
銅比率が高い銅合金の総称です。具体的には、 ベリリウム銅やチタン銅、ジルコニウム銅などです。銅が本来持っている熱伝導率や電気伝導率をそれほど落とさずに、耐摩耗性や耐食性、強度を改善できます。
・真鍮(黄銅)
真鍮(しんちゅう)の標準的な割合は、銅:亜鉛=65:35です。亜鉛の割合を増やすほど硬度が増しますが、脆くなって割れやすくなります。鉄やスズ、鉛などを加えて熱間鍛造性や被削性などを補った真鍮もあります。
・青銅
青銅は銅とスズの合金です。銅をスズと合わせて加熱すると融点が800℃程度まで下がるため、鋳物の製作に適しています。添加する金属によって、りん青銅や快削りん青銅、アルミニウム青銅などのバリエーションがあります。
・銅ニッケル合金
ニッケルを添加して、強度や耐食性、耐摩耗性、耐海水性などを向上させた銅合金です。抗菌性が強く、硬貨に白銅(50円/100円)や洋白(旧500円)が採用されたり、病院や食品加工場の環境素材として利用されたりしています。
銅加工時の注意点
銅は加工性に優れていますが、切削時にはトラブルが起こりやすい金属です。ここでは、純銅や銅合金を切削加工するときの注意点を紹介します。
刃先への溶着を防ぐ
一部の銅合金を除いて200℃前後で軟化するため、切削加工時の摩擦熱で刃先に溶着しやすいのが難点です。溶着を防ぐには、油性のクーラントを使用して刃先を冷却します。
切削速度を上げる
銅の特徴である展延性は、銅加工時にバリの発生頻度を高くしてしまいます。切削速度を速めて刃先と銅素材の抵抗を下げることで対処可能です。ただし、刃先の温度も上がりやすくなるため、溶着に注意しながら速やかに加工します。
適した切削工具を選ぶ
切れ味の悪い工具では切削抵抗が増し、バリができやすくなります。超硬素材でできた切れ味のよい刃先を選びましょう。すくい角も重要で、すくい角が大きいほうが切削力は小さくなる分、切削時の温度上昇を抑えられます。
銅加工では銅の特徴を知って加工時の注意点を押さえよう
銅は有用性の高い特徴を持ち、加工もしやすい金属として知られています。しかし、その特徴ゆえに、実際の加工ではバリや溶着などに悩まされるかもしれません。銅の種類とそれぞれの特徴を理解して、ここで紹介した注意点を押さえながら切削作業をおこないましょう。
銅は柔らかく粘りがあり、熱伝導も高い金属です。高精度な加工をするには相応の技術が必要です。トラブルなく銅を加工したいなら、銅加工のスペシャリストである株式会社東京立山製作所におまかせください。