真鍮とは、銅と亜鉛の合金のことを言います。銅を基材とした金属で、添加物として亜鉛が5~40%加えられたものが真鍮です。真鍮は精錬された状態では黄色をしており、研磨をすると光沢がでて金色になります。その色味から真鍮は「黄銅」とも呼ばれます。英語では「brass(ブラス)」と表記されます。
金色をしている真鍮ですが、銅と亜鉛の比率によって色味が若干変化します。亜鉛の含有量が少ないほど銅の赤みが強くなり、亜鉛の含有量が多くなると黄色みが強くなります。また、亜鉛の含有量が多いほど硬度が高くなります。
真鍮の特性
真鍮の優れた主な特性は、次の5つが挙げられます・展延性が高い
・切削性が高い
・耐食性が高い
・電気伝導性が高い
・熱間鍛造性が高い
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展延性が高い
真鍮は展延性が高く、常温で伸ばしても破損しません。そのため、細い線に加工したり、薄板に加工したりできます。 -
切削性が高い
真鍮は展延性が高く、常温で伸ばしても破損しません。そのため、細い線に加工したり、薄板に加工したりできます。 -
耐食性が高い
真鍮は展延性が高く、常温で伸ばしても破損しません。そのため、細い線に加工したり、薄板に加工したりできます。 -
電気伝導性が高い
真鍮は展延性が高く、常温で伸ばしても破損しません。そのため、細い線に加工したり、薄板に加工したりできます。 -
熱間鍛造性が高い
真鍮は展延性が高く、常温で伸ばしても破損しません。そのため、細い線に加工したり、薄板に加工したりできます。
真鍮の加工方法
真鍮は下記のように様々な方法で加工できます。 ・切削 ・鋳造 ・切断 ・曲げ加工 ・溶接
真鍮の加工方法
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切削加工
真鍮はドリルやエンドミルなどの回転工具を用いた「フライス加工」、材料を回転させてバイトで削る「旋盤加工」などで加工ができます。これらの切削加工は、±0.1mmや±0.01mmといった高精度の加工が求められる場合に利用されます。形状の自由度も高く、立体的な加工も可能です。切削加工は金型などを使わないのでイニシャルコストは低く済みますが、1製品当たりの単価は高くなってしまいます。 -
鋳造
鋳造は、石膏や砂などで作った型にドロドロに溶かした真鍮を流し込む加工指します。鋳造は、比較的自由な形状に加工できるのが特徴です。自由な形状にできる反面、製品内部に気泡ができる場合があり、機械的な強度が求められる場面にはあまり適しません。 真鍮の鋳造加工が用いられる製品には、指輪などのアクセサリーや蛇口、ドアハンドルなどがあげられます。 -
切断加工
真鍮を切断する加工には、レーザー加工、タレットパンチプレス加工、シャーリング加工、プレス加工などがあげられます。 レーザー加工では、レーザーを用いて切断するので、金型なしで非常に柔軟な形状に薄板を切断できます。長い直線などの加工速度は圧倒的です。 タレットパンチプレス加工は、汎用的な金型を用いたプレス加工のことです。レーザー加工に比べて、形状の柔軟性や直線の加工速度は劣りますが、細かい穴などの加工はレーザー加工よりも早いのが特徴です。 シャーリング加工は、金型は不要ですが直線にしか切断ができないため、薄板材料の切断に用いられるのが特徴です。v プレス加工は、金型が必要になるため、イニシャルコストがかかってしまいますが、複雑な形状でも低コストで加工ができるようになります。そのため、量産加工ではほとんどの場合でプレス加工が用いられます。 -
曲げ加工
材料を曲げる必要がある場合は、切断加工後にプレスブレーキ加工、プレス加工などを用いて薄板を曲げます。曲げ加工を施すと、材料に強度をもたせることが可能です。 プレスブレーキ加工は、汎用的な金型を用いて薄板を曲げる方法です。プレスブレーキ加工は汎用的な金型を用いるため、イニシャルコストがかかりません。そのため、中小ロットでの加工に主に用いられます。 プレス加工は、専用の金型を作成する必要があるものの加工速度が早く、切断加工と同時に曲げができる場合もあり、量産性に優れています。 -
溶接
真鍮は溶接加工で複数のパーツをつなげることもできます。ただし、真鍮は熱伝導率が非常に高いため、基材を溶かして加工すると本体を溶かしてしまう場合があります。そのため、真鍮の溶接には高い技術が必要です。 このような熱伝導率の問題があるため、真鍮を溶接する場合は、真鍮よりも低い温度で溶ける銀ロウを使った「ロウ付け」がよく利用されます。
真鍮のお手入れ方法
真鍮は耐腐食性に優れていますが、表面が酸化しやすいという弱点があります。酸化してしまうと真鍮表面に酸化銅が発生し、表面が黒く変色してしまいます。そのため、メッキ加工やクリアコートをしない場合は、研磨剤を用いて定期的に表面を磨く必要があります。
真鍮の歴史
歴史上において真鍮が使われはじめた時期は、紀元前と非常に古くから。これは銅と亜鉛が混じった鉱石を精錬していたからと考えられています。古代ローマでは、デュポンディウスという貨幣や武器としても利用されていました。 一方で、本格的な真鍮の製造が始まったのは12~16世紀の間にインドや中国といわれています。真鍮が一般的な金属として普及し始めたのは18世紀ごろで、イギリス、ドイツで効率的な精錬技術が発達してからでした。 日本では、平安時代に真鍮が使用されていたことが明らかになっていますが、真鍮の人工的な製造が始まったのは江戸時代中期。寛永通宝などの通貨として利用されていました。
金物製作に真鍮を選ぶメリット・デメリット
最後に金物製作に真鍮を選ぶメリットとデメリットについて紹介していきます。
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金物製作に真鍮を選ぶメリット
金物製作に真鍮を選ぶメリット ・意匠性が高い ・加工性が高い ・耐食性が高い 真鍮は磨くことで、金に近い色味を出せます。金に比べて値段が圧倒的に安いため、金のゴージャス感を出したい製品への利用には最適です。 また、真鍮は切削性や熱間鍛造性などに優れており、様々な加工がしやすいというメリットもあります。表面は酸化しやすいものの、内部まで腐食されにくいというメリットがあるので、水に濡れる場所で強度が求められる場合に最適です。 -
金物製作に真鍮を選ぶデメリット
・機械的強度が弱い ・酸化しやすい 真鍮は鉄に比べると強度に劣ります。機械的強度が要求される部品にはあまり適しません。 また、表面が酸化しやすいので、表面処理をしない場合は時間経過により表面が黒ずんできます。そのため、真鍮の色味を維持したい場合は、クリアコートを施すなどの工夫が必要です。